ミュラーの苦労
 by 鏡さま

「おい、ビッテンフェルト。今から飲みに行かないか」
少年のような笑顔でミッターマイヤーが言う。
「う〜む……」
その向こうではミュラーが祈っている。
「おごってくれるならいいぞ」
「当然私のおごりだ(ニヤ)」
「では、行こう」
隣でミュラーが崩れ落ちた。
「今日もなのか……」
ミュラーが今にも倒れそうな顔でつぶやく
「さあタダ酒だタダ酒だ。おい、行くぞ」
「・・・・・・・・」


これは今に始まった事ではない。
子供がある程度大きくなった頃から
ミッターマイヤーは同僚を飲みに誘い
そこで子供たちのことを自慢するのである。


「それにしても今日はやけに嬉しそうだな」
ウイスキーを飲みながらビッテンフェルトが言う。
「ばっ・・・」
ミュラーが慌ててとめようとしたが遅かった。
ミッターマイヤーは顔中に笑顔をたたえて喋りだした。
「実は昨日な……略」
「やっぱりこうなるのか……」
ミュラーの顔には笑顔のえの字も無い。
「いいではないか。今に始まった事ではあるまいし」
タダ酒につられたビッテンフェルトが言う。
「卿は途中で逃げるくせに……」
不機嫌の極みにあるミュラーが言う。
「それでなエヴァが俺の好物のな……略」
そんな二人を気にするでもなくミッターマイヤーは喋り続けている。


それから一時間後。
「そろそろだな」
時計を見ながらミュラーが言う。
「ちょっとトイレに行ってくる」
早足でビッテンフェルトがトイレむかっていった。
「そうか。まあいい。それでなミュラー。子供たちが……略」
全く喋る速度が落ちていないのは驚きだが、今のミュラーにはそんなことを考える余裕は無い。
「それからフェリックスが……略」


30分くらい経った頃
「じゃあ、そろそろ帰るか」
そう言って、ミッターマイヤーは金を支払いに行った。
そして見計らったかのようにビッテンフェルトがトイレ?から帰ってきた。
「うっ・・・・」
死にそうな顔のミュラーを見て流石のビッテンフェルトも驚く。
しかし、これはいつものことであるが……
「なあ。卿が酒を飲むのはいい。いいからこれからは一人で行ってくれ」
「わかった。わかったからその目で俺を見ないでくれ」
「お〜い帰るぞ」
出口の所で支払いを済ましたミッターマイヤーが呼んでいる。
「じゃ、じゃあ行こうか」
ミッターマイヤーの一言でビッテンフェルトの命は救われた。


四日後
「おい、ビッテンフェルト。飲みに行かないか」
「タダ酒か」
「タダ酒だ」
「なら行こう。おい、行くぞ」
「・・・・・・」





鏡様より あとがきと反省
すいません。こんなの読ましちゃって……。短すぎですね。
ミュラーが好きなんでこんなの書いちゃったんですが。
反省してます。次はもっとましなの作りますんでお許しを


みつえより

初めての小説をうちのサイトに送ってくださって、感謝です(⌒∇⌒)
子ども自慢なんていうのは、ほんと、まわりから見ると酒のつまみにもならない話題かもしれませんね。
特に独身者相手では・・・。
記憶なくすまで酒飲んで、乱闘引き起こすのとどっちがどっちが扱いやすいか?
・・・これは究極の選択ですね(^◇^;)

BGMには「ウォルフガング」アマデウス・モーツァルトの「魔笛」から、
わたしの大好きなパパゲーノのアリアを選んでみたのですが、いかがでしょうか?

また送ってください。お待ちしています!

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