帝国星占い (2)
※2002年3月20日の運勢占いより (本文は本物です)
☆乙女座のあなたの今日の運勢
無能な上司の尻ぬぐいをさせられそう。転職を考えるいいチャンスです。
いい話が来たら前向きに考えましょう。
ラッキーアイテムはキャッツアイの指輪です。
☆蠍座のあなたの今日の運勢
恋愛運が最悪。すれ違いがちになりそうです。
焦らずクールな対応をすることで、相手の関心を引くことができます。。
ラッキーアイテムはテディ・ベアです。
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昨日の女が残していった雑誌で見た、今週の運勢。
もちろん彼は、占いなどと言う全時代の遺物を信じる方ではない。
しかし、これは、今の自分たちの状況に、あまりにも合致しているではないか。
彼はしばらく迷ったあげく、決断を下した。
ばかばかしいことではあるが、乗ってみようではないか。
彼の友は確かこういうことは信じる方らしい。
これくらいで事態が好転するのであれば、これほどいいことはないのだ。
嵐の夜だった。帝国軍最年少の大将、ラインハルト・フォン・ミューゼルは部屋の明かりを暗くして、放電現象のつむぎだす抽象画に見入っていた。
赤毛の提督キルヒアイスは、そんな親友の横顔を、飽きることなく見ていた。
夜半になり、雨がひどくなってきた。
「まだごらんになっているのですか?」
「ああ・・・」
ラインハルトには、その稲妻の一つ一つが、愛する姉に向けられた敵意の剣に見えていたに違いない。
その剣は、自分にも、もちろん向けられている。
キルヒアイスにも、ラインハルトのその気持ちはよくわかっていた。
そして、その稲妻から、自分は身を挺してでもお二人を守らねばならないのだ、そう考えていた。
とんとん、と軽いノックの音がした。キルヒアイスは少し身構えた。
フーバー夫人が、来客を告げる。
「赤毛さん、金髪さん、お客様ですよ」
そう言う声が、心なしか震えているようにキルヒアイスには感じられた。
彼は夫人にあやまりながら階段をおり、ブラスターの所在を確認しつつドアTVで客の身分をたずねた。
「帝国軍少将オスカー・フォン・ロイエンタールと申します。夜分、申し訳ないが、ミューゼル大将にお目にかかりたい」
画面に映った訪問客の瞳が、右は黒く、左は青く、異なる色の光を放っていることに、キルヒアイスは気がついた。
そして次の瞬間、彼は夫人の声が震えていた理由を知る。
金銀妖瞳の有名高き少将オスカー・フォン・ロイエンタールは、テディベアの着ぐるみを着て、ぐっしょり濡れた姿をドアTVのモニターにさらしていた。
その顔は、あくまで冷静さを失わず、クールな表情をたたえていた・・・・・・。
そのころ軍刑務所では、両の手に手錠をかけられたままのミッターマイヤー少将が、突然の友の訪問の様子を思い出し首をかしげていた。
「あいつ、何でこんなところまでこんなものを持ってくるんだ?」
彼の左薬指には、つい先刻親友から押しつけられた、どう見ても豪華な婚約指輪としか思えないような見事なキャッツアイの指輪が光っていた。
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・・・・・・・・・・・これじゃ、ただの変態さんだ・・・金銀閣下(^^;;